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驚くべき日本の食料自給率と食料廃棄率

本の食料自給率は他国に比べて圧倒的に低いと言われていますが、食品廃棄率は世界一と言われています。
そこで今回は、食料自給率の低下と廃棄率の増加の原因、及びそれらがもたらす懸念、課題を纏めてご紹介します。

 

☑ 国別食料・穀物自給率ランキング

日本は豊かな国です。しかし、国別食料自給率のランキングを見たときには愕然とします。
主要先進国食料自給率(%)ランキングを国別に見ると、1位オーストラリア(230)、2位フランス(130)、3位カナダ(120)、4位アメリカ(119)、5位ドイツ(91)、6位スペイン(90)、7位スウェーデン(87)、8位イギリス(74)、9位イタリア(71)、10位オランダ(67)となり、日本は12位で自給率は40%程度にすぎません。
また、穀物自給率(%)においては、1位アルゼンチン(243)、2位カザフスタン(200)、3位オーストラリア(198)、4位フランス(186)、5位ウルグアイ(168)、6位タイ(156)、7位ハンガリー(140)、8位ブルガリア(131)、9位ベトナム(129)、10位ウクライナ(128)となり、日本は123位でたったの28%しかなく、四人に一人分ほどしか足りていない計算になります。
穀物は、人類の主食になるばかりか、家畜などの飼料としても利用されている大切な食糧です。トップ10には、アフリカを除いた各大陸の農業大国が名前を連ねています。どの国も自国で必要な以上に生産できているのだからすごいことです。
1960年代前半には、日本の食糧自給率は70%を超えており、イギリスやドイツがきわだって低かったのですが、この半世紀ですっかり日本を逆転しています。

 

☑ 品目別でみる自給率

農業分野においても世界で強力な発言力を持つアメリカは、人類の主食となる穀物を戦略物資の一つと位置づけています。
世界の人口が増えていく中にあって、バイオ燃科としても使われはじめた穀物の価値は、いま以上に高くなるはずです。そうなると、日本など自給率の低い国は、より高い価格で食糧を輸入することにだってなりかねません。
日本は、豚肉や小麦、大豆、バナナは世界3位の輪入国であり、牛肉においては世界2位、そしてとうもろこしや水産物は世界1位です。とうもろこし、大豆、小麦ともにアメリカからの輸入が大部分を占め、その他はブラジル、カナダ、オーストラリアなどからの輸入となっています。
中でもマグロは、世界の4分の1もの量を日本人が食べています。かつて魚介類の自給率113%を誇っていましたが、こちらの分野でも、いまでは50%以下に低迷しています。
お金はあるけど食料が無いのが、実は日本の姿なのです。豊かだけれど食糧難なのです。

 

☑ 世界の人口増加で食料不足は深刻に

あふれんばかりに食料のある日本にいると「食料不足」と言われてもピンとこないのではないでしょうか。
しかし、世界に目を向ければ食料は明らかに足りていません。そして今後、ますますその傾向は強くなります。
現在の世界の人口は約70億人、2025年には80億人となり、今世紀中には100億人に達すると予想されています。
中国、インド、ブラジルなどは、これまで農産物の主要な輸出国でしたが、急速な経済発展、人口増加により、穀物の輸入国へと変わろうとしています。
また、世界中で耕作できる土地が年々減っています。原因は、地球温暖化や異常気象などによる耕作地の砂漠化と、経済成長や人口増加にともなう、耕作地の工業地や宅地への転換などです。
更に、地球上にある水(淡水)も限られています。現在でも地球上の水不足は深刻な問題ですが、人口増加や地下水の枯渇、水質汚染などで、農業に利用できる水がどんどん減っています。

 

☑ 食品廃棄率

日本は、食料廃棄率、一人当たりの廃棄量が世界一です。
1秒間におにぎり8600個分、688㎏の食品が日本で食べ残されて生ゴミとなっています。
日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の2割にあたる約1800万トンで、このうち、売れ残りや期限切れの食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」は500万トン~800万トンとされています。
日本では、スーパー、コンビニの返品による廃棄が多く家庭では古くなって食べたくない等、製造年月日に過敏すぎる様です。
私たちは「たまたま」日本人に生まれて飽食をしていますが、飢餓に苦しむ人々が世界中にいることを忘れてはいけません。
命の原点に立ち返り、消費者が食品廃棄をゼロにすることを心がけるだけで救える命があることを認識すべきです。

 

☑ 自給率の向上に向けて

このような危機的とも言える食料自給率に対し、日本政府が積極的に取り組んでいることの1つが、米粉の活用です。
主食として消費される米は減少しているわけですが、小麦のように粉として使用することで異なった消費の方法を模索・提案しています。
米粉は古くから和菓子の材料などとして消費されてきましたが、米粉にはもっと多くの可能性があるとして、和菓子だけに限らず、メインの料理から洋風デザートにいたるまで、レパートリーも豊富なレシピや米粉製品の紹介、各地や関連企業で実施されるイベントの紹介などを通じて米粉の消費拡大を進めています。
それ以外にも、農家の後継者、全国各地の新たに就農した若手農業者、意識の高い消費者が集まるネットワークを形成することで、21世紀の農業を支える新たな仕組み作りを行うNPOや、遊休地や耕作放棄地を開墾するプログラムを作り、都市住民に呼びかけたり、会社のCSRと結びつけて、地方に都会の人を連れてきて開墾にいそしむ週末を提供しているNPOなどがあります。
農と一般市民をつなげることに注力する団体や、直接市民が農業に取り組める援農を促進したり、市民農園を提供する自治体や企業も急速に増えています。

 

☑ まとめ

食料自給率をきっかけに、国民が自分の食生活や日本の農業の現状、また世界の農業・食品事情などを見直すことが大事です。
自分が毎日食べているものがどこからやってきたのか、それはこれからもずっと変わらず栽培や入手可能なものなのか、正しい情報を見極め、そのために自分は何を選び、自分にできることが何なのか考えることが大切です。

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